丹沢イワナについて考える

ヒトツバショウマ

 夜明けの待ち合わせ場所には、まだ誰も来ていなかったので、林立する堰堤の間を少し釣ってみたが、反応なし。
 おそらく、この堰堤区間に、サカナはいないだろう。

 まもなく、藪の高橋さん、NAKANOさん、朝霧が好きさんがご登場。
 4人で釣り始めた。

 しかし凄い光景だ。
 広々とした河原の中、流れはもはや気息奄々といった感じ。
 シカの白骨も点々と散らばっていた。

 それでも、河原の中ほどに、ハンノキの仲間が根を張りつつある。
 復元しようと必死で頑張る自然に、なにかの手助けができないものか。

 最後の堰堤上の広河原が尽きると最初の滝で、これを左から巻いてみると、一転して好渓相。
 淵はやや浅いが、大石と落ち込みの続く、自然林の渓だった。

 私はここから餌釣りに転向。
 しかし、ほとんどあたりもなし。

 岩場にビランジやヒトツバショウマが咲いていた。
 二つとも、丹沢山塊ならではの花だ。
 ヒトツバショウマは、ピンク花も。

 藪の高橋さんが釣られたイワナは、白点・橙点が美しいニッコウイワナだった。
 秩父イワナにくらべて、パーマークがとてもはっきりしていた。
 このイワナはネイティブか、それとも養殖ものの子孫か。

 100%の確率でそれを見分けるのは、おそらく不可能だろう。
 しかし、このイワナが釣れた場所は、きびしい高巻きを含め、いくつも小滝を越えた中流部。
 放流は相当困難な場所だ。

 釣り人の第六感では、美しいイワナは養殖ものではない。
 測線下の橙点と、ヒレのオレンジ色を見る限り、おそらくネイティブだろう。。

 それにしても、このあたりは、魚影が薄い。
 ゴミもかなり落ちているから、釣り人も多いようだ。
 ガレに抗して生きる丹沢イワナの息の根を止めてはならないと思う。

 そのため、釣り人に、何ができるだろうか。