ひさびさに新しい果実酒を試飲した。
といっても、もともとスタミナドリンクの瓶に一本分くらいしか作っていない。
というか、果実があまり採れないので、たくさん作ることができないのだ。
今日あけたのは、一年寝かせたサルトリイバラの酒。
サルトリイバラは、ユリ科のツル植物。
低山の登山道わきにからんでいるのを、よく見かける。
どういうわけか、花は見た記憶がない。
おそらくめだたない花なのだろう。
バラ科でないのにバラの名前がつくのは、棘があるからだろう。
登山道をはずしたときや、ヤブ道を歩くときは、あまり遭いたくない植物なのだ。
サルトリイバラの実が映えるのは、初冬。
冬枯れの登山道には、あまり見るものもないのだが、そのような山でふと目に入る真っ赤に輝くサルトリイバラの実は、じつに美しい。
このサルトリイバラは、北秩父のとある廃道を歩いていて、見つけたもの。
いやになるほど急傾斜のヤブこぎの詰めは、初冬にはお呼びでないタラノメの群生帯。
やっとのことでそれを抜けて、自動車道路に出る手前に、サルトリイバラのからむ草ヤブが立ちふさがったのだった。
そんな山行でも、ビニール袋に少しのサルトリイバラをいただければ、充実感が残る。
これをすぐにホワイトリカーに漬けこみ、エキスが浸出しきったところで果実を引き上げ、一年経つまで熟成させた。
漬けこみ当初は真っ赤だったが、熟成とともに色が褪せ、やや赤みのかかった褐色の酒に仕上がった。
もとの果実の味は知らないが、酸味と苦味にかすかな甘みが加わっている。
果実酒らしい味、十分に合格点の酒だ。
小さなグラス一杯のリキュールが、冬枯れの小径を思い出させてくれた。 |