セツブンソウ

 解禁の渓(たに)にいろどりを添えてくれる花は、セツブンソウ。
 旧暦の節分前後に開花するところから、その名がついたものだろう。

 解禁当初の渓はまだ、渓魚の反応も悪いし、釣れても黒くサビていて、胸が痛む。
 でも3月になったら、新しい気持ちで渓に立ち、瀬音に耳を傾け、凛とした空気の中で、深呼吸してみよう。
 青白く透き通った花びら(じつは萼片)が、凍てついた渓沿いの斜面に並んでいるようすは、渓流シーズンの到来を、しみじみと実感させてくれる。

 今年も、セツブンソウが待っていてくれた。
 このシーズン、これから、どんなイワナやヤマメ、アマゴに逢えるだろう。
 今年も訪れてくれた春に、わたしたちは、どんな恩返しができるだろう。

秩父の渓にて