菜の花との昔語り

 山の村には、仕事がない。
 斜面の畑を守っているのは、老人ばかり。
 子どもの数がこんなに少なくては効率が悪いと、学校も廃止になる。
 それでなおさら、子育てもできない村になる。

 ついこないだまで、山の村では、川の水を飲み、煮炊きに使い、洗濯もした。
 みんなが大切にしていた川には、ヤマメが群泳していた。

 ひさびさにこの里川を訪れてみると、淵は土砂で埋まり、河原には家庭ゴミが散乱していた。
 ため息をつきながら、川を歩くと、ナバナの董(とう)が、ふたつ、みっつ。
 ナバナ相手に、昔語りをする自分に、苦笑した。

秩父の渓にて