ハナネコノメソウ

 春の訪れは、誰にとってもうれしいものだ。
 その喜びを、声高らかに歌っているのは、ミソサザイ。

 うれしい。うれしい! うれしくって、たまんない。
 みんな! 春だよ。春が来たんだよ。
 なぜ、黙ってんの? いっしょに歌わないの? どうして? どうして?

 足下の岩に目をおとすと、ハナネコノメ。
 米つぶほどの大きさの、かわいらしい花が、ちっちゃな花びらをいっせいに開いて、主音を歌うミソサザイに、和していた。

秩父・安谷川にて