解禁当初の源流域には、氷と化した雪が、斜面にべったり。 岩にはベルグラ(薄氷)が貼りついているので、遡行する一歩一歩に、気が抜けない。
いつも以上に、神経を使った釣りになるが、得るものはほとんどない。 でも、渓からあがって杣(そま)道に出ると、夏の釣りにはない満足感に、満たされる。
そんなある日、道沿いの斜面に開花した黄金色の群落が、わたしの目を射た。 まだ冬のつづきだと決めつけていたわたしに、フクジュソウが、もう春なんだぜと、微笑みながら語りかけてきた。
秩父の渓にて