チチタケを釣りに


こんなイワナに遊ばれた

 今回は、トンビマイタケの写真を撮ることが、主要な目的だった。
 深夜に自宅を出てきたのだが、やっぱり山形は、遠い。

 いろんなものを詰め込んだザックが、肩に食い込むが、さほど長い歩きではないと、自分に言い聞かせながら、登山道を歩いた。

 以前に来たときと同様、チチタケとツチカブリ、ツチカブリモドキが多い。
 ヒメベニテングタケが、ほとんど見えなかったので、とても残念だった。
 よさそうなチチタケを摘んでは、ビニール袋に入れていったが、一人で食べるのに十分なきのこがとれたのは、あっという間だった。

 テントを設営してから、本命のトンビマイタケを探しに出かけた。
 急斜面を登ったり降りたりしながら、思わしいブナの根ぎわをのぞき回ったが、汗だくになっても、きのこは見つからなかった。

 トンビマイタケは出ていないか、すでに、採られたあとかと思えたので、あきらめて、チチタケ料理にかかった。
 メニューは、チチタケのスパゲティとチチタケのチャーハン。
 油を使うと、チチタケ特有のぼそぼそ感がなくなって、なかなかおいしかった。

 夕方、パラパラと雨が降ったが、濡れるほどではなかった。
 しかし、左の沢が急激に濁り、10センチほど増水したので、とりあえず、荷物だけはまとめて、眠りについた。

 翌朝は、快晴。
 この日の分の鑑札を買っておいたので、しばらく、毛鉤を振ってみた。
 そういえば、テンカラは、今シーズン初めてだった。
 釣れたのは、右の沢のチャラ瀬で、小イワナが二つ。
 定位しているイワナが見えるのに、反応してくれないのは、悲しい。

 でも、満足できたので、しばらくは、花の撮影。
 オオバギボウシ、オニシモツケ、ヨツバヒヨドリ、ヤマアジサイ、フキユキノシタ、クガイソウ、ウツボグサなど。
 秩父地方では見られない、チョウジギクが咲いてなかったのは、残念だった。

 テント場に戻ってからふたたび、重荷を背負う。
 トンビに会えなかったのは残念だったが、チチタケには会えた。
 十分に満足して、帰途についた。