藪釣り入門記

 藪の高橋さんに、神奈川県の沢を案内していただきました。

 ヤマメに注ぐ愛情と、ヤブ沢へのこだわり。
 渓流保全に対する明快な語り口。

 この人の言っていることをちゃんと理解するには、この人と釣りをすることがいちばん。
 そう思って、メールを出してみると、禁漁直前に都合をつけて下さいました。

 午前中におちあい、お昼過ぎからさっそく入渓した渓を見て驚きました。
 水流はしっかりしているものの、左右から張り出した木の枝を見ると、ちょっと手が出そうにありませんでした。

 ここで教えていただいたのがタタキ釣り。

 全長30センチほどの仕掛けに毛針を結び、ヤマメがいるところの上を舞わせる。
 水面上10センチほどのところで一瞬止め、毛針をそっと落とし、あとは自然に流す。
 見たことも、もちろんやったこともない釣りでした。

 持ってきた綿虫を使うのはもちろんやめ。
 二日間、タタキで通しました。

 型はそれほどでもありませんでしたが、二日間、藪釣り初心者の毛針に、ヤマメが飛びついてくれました。
 電光石火の合わせを強いられるため、かかったのは1割以下でしたが、毛針を落とすときの緊張と興奮は、ほかの釣りにはないと思いました。

 夜は、オオウラジロノキ酒などを飲りながら、渓のこと、ヤマメの保護のことについて話しました。

 キャッチ&リリースを徹底することにより、ヤブ沢とはいえ、いかに豊饒な渓が維持できるか・・・。
 それを、まざまざと見せていただきました。

 秩父の沢で、同じことをすべての釣り人に要求するのは、かなりむずかしいと思います。
 それに、C&Rしないと秩父の沢が維持できないようになったら、もうおしまいという気もします。
 でも、釣り人が沢を守るという考えは、秩父を釣る釣り人にも、持ってほしいと思います。
 それ以外に、沢を守る方策はないのでは?

 地元でも、C&R専用区を釣り人自ら作っていきたいと思いながら、神奈川の渓をあとにしました。