春爛漫の渓

 ヘッドランプをつけて踏みあとを下降するのも、一年ぶり。

 流れに着くころには、アズマシャクナゲの大きな花が、薄明の中に浮かんでいた。なんとまあ、気の早いこと。

 30分近い下降に、吹き出した汗をぬぐって、流れをつくづく見てみると、水量は少ないものの、ここ数年とまったく同じいつもの流れだった。
 新緑のなかに、ミツバツツジのピンクがあざやか。

 川虫が豊富なのも、うれしい。
 釣友と、あとから来た若い釣り人と、つごう三人で釣り遡った。
ミツバツツジ 1996,5,15 槇ノ沢出合

 渓が以前と同じ表情を見せてくれると、ポイントのひとつひとつがいとおしい。

 風情のわりには、水温が低いのか(それでも私の温度計で九度)、ヤマメは瀬に出ていなかった。
 センダイムシクイ、ヤブサメ、コルリ、エゾムシクイ、クロジ、ツツドリなど、初夏の小鳥がにぎやかだった。

 あがる予定だったヤマメ止めの大淵に着いたときに、お昼までまだ間があったので、もうチョイ欲ばってイワナ域を遡行。

 今年はじめて元気なヤマメの顔を見ることができたのはよかったが、帰路は約二時間半の歩き。
 斜面をピンクに染めるミツバツツジの開花は、例年にないみごとさ。暖冬の影響だろうか。
 道ばたに、オオチャワンタケなんかも、出ていた。

 その日の夜から、全身筋肉痛。
 でも、心安らかに釣りができて、なによりだった。