気仙川の印象

 1997年5月24〜25日に、ニフティサーブの瀬音会議室の有志によるOff Line Meetingが、岩手県の気仙川で、行われました。
 このような催しに参加するのは、はじめてでしたが、とても楽しいOLMでした。

 岩手の川で竿を出したのも、初めて。
 もちろん、気仙川も。

 秩父の渓以外はほとんど知らない、ローカルアングラーの私には、見るものすべてがめずらしかったです。
 このすばらしい気仙川がいつまでも、豊かな川であってほしいと思いました。

一日目(5/23)は日頃市川(鷹生川)

 自宅を出たのは二時半。
 前夜九時過ぎまで仕事だったのだが、上河内SAで少し仮眠しただけで、快調に走れた。

 水沢ICから大船渡へ向かう途中、種山高原近くの注文の多いそば屋というそば屋でそばなど食べても、赤坂峠には、十二時半に着いた。

 待ち合わせは二時半だから、まだ二時間ある。
 下流で、盛川の釣り券を買っておいたので、琥珀零さんからすすめられた日頃市川で、岩手のイワナに遊んでもらうことにした。

 日頃市川の核心部と思われるところは、ダム建設の真っ最中。
 人家はすべて撤去され、ところどころに見える石垣が、生活のあとを偲ばせる。
 ここでも、おおぜいのご老人が泣いたにちがいない。

 川虫がほとんど捕れなかったので、釣りができたのは百メートルたらず。土砂が入っている上、水田用に引水されていたので、底は浅くなっていた。

 それでも小一時間ほどで18センチほどのイワナがひとつ、釣れた。腹が薄いオレンジのニッコウイワナだった。

 二時になったので、赤坂峠に戻り、その日が初対面のたまくらさんと五葉山に登って、雲海に沈む夕日に感動し、そのまま山小屋に泊まった。

二日目(5/24)は気仙川

 気圧は3mb下がっただけなのに、ガスがひどく、霧雨もようだったので、さっさと下山。
 前の日にたくさんライズしていたという気仙川の中流に向かった。

 琥珀零さんのお師匠さんのSさん宅の下の瀬にはいることにした。

 ここで、今回の釣行最大のアクシデントが起きた。

 釣りの支度をして、川におりようとすると、クルマのキーがない。
 10分前まで走っていたのだから、なくなるはずがないのに。
 車内をくまなく探し、ひょっとして、パンツの間にはさまってるかもしれないと思って、釣りズボンをずらしてまで探したが、見つからなかった。

 一時間近く探し回ったが見つからないので、もう家に帰れない!と覚悟を決めたら、バックドアにささったままのキーが見つかった。

 いっぺんに立ち直って、川におりた。
 見たこともない広い川だった。
 川虫はすこぶる多いが、虫がとれるザラ瀬は少なかった。
 たまくらさんは、対岸の葦の根ぎわをねらって、びゅんびゅん投げていた。
 すげー。
 うつくしい。
 見てるまに、糸を引っぱりはじめた。
 なにやってるのかなと思ったら、ヤマメが釣れていた。
 フライでヤマメが釣れてるのは、はじめて見た。

 私の方は、地元では使ったことのない6メートル竿でも、ぜんぜん、手も足も出なかった。
 たまくらさんに、こんなところじゃとても釣れないと泣き言を言って、少し上流のいかにも釣れそうな瀬に移動した。

 小雨もようの中、あっちこっちで、かげろうが舞い始め、20センチ前後のヤマメも跳ねていた。

 そうしているうちに、10センチくらいのウグイが釣れた。
 うれしかった。
 これでボーズはまぬかれた。

 雨がきつくなってきたが、たまくらさんは、あいかわらずパワフルに竿を振ってるし、ヤマメのライズもふえてきたような気がした。

 で、それまで底近くを流していたのだが、水面近くを流すようにしてみたら、やっとヤマメがあたってくれた。
 このヤマメは、取り込みに失敗して、ひもつきにしてしまった。

 そのあとは、ウグイまじりだが、ヤマメが4つ、釣れた。

 ちなみに、一日にヤマメを4つというのは、今シーズンの最高記録だ。
 このすばらしい川が、いつまでもこのままでいてほしいと思った。

 近くのラーメン屋で腹ごしらえをして、集合場所に行ってみると、NOBEさんの車と、kurooさんの車があって、ざーざー降りの雨の中、数人のフライマンが釣りをしていた。

 ようやるなー、今回は見るだけにしようと思ってたら、たまくらさんはさっさと着替えて、竿を振りはじめた。

 そこに張ってあったタープで雨宿りしながら、初対面のみなさんとあいさつなどしていたら、少し小やみになったので、釣りたくなって、ひらり〜さんといっしょにクルマに戻って、支度をした。

 午前中に釣ったところより深くて、水の勢いも強かったが、あたりは多く、まもなく20センチくらいのヤマメが釣れた。
 水の流れが強いので、また糸が切れるんじゃないかとひやひやした。
 それに、何となく、うしろに視線を感じたので、最後の取り込みには緊張してしまった。

 ヤマメも精根尽き果てたようすで、しばらくへたばっていたが、kurooさんが写真に撮ったあとは、元気に流れに戻っていった。

 その後は、ウグイばかりだった。

 気仙川の釣りはここまで。その夜から翌日にかけて、雨が降り続いた。
 夜の飲み会、翌日午前の雑談は、あっという間に時間が過ぎてしまった。

 たぶん10分の1も理解できなかったけど、毛針についてのいろんな蘊蓄が聞けたし、見たことのない道具や毛針の数々に、興味を持ちました。
 このような機会を作って下さった琥珀さん、初参加の私を暖かく迎えて下さったみなさんに、心から感謝申し上げます。