現在は、図鑑よりもインターネットの方にいい写真があるくらいですが、やはりモニターの画面よりも、印刷された紙面の方が、人間の目にはやさしいし、調べやすいと思います。
きのこについて調べるには、必ず図鑑が必要です。
手元になんの資料もなく、パソコンネットだけで調べようというのは、ものぐさすぎるし、えらくロスが多いでしょう。
たくさんのきのこ図鑑が出ていますが、それぞれ特徴があります。
(1) 専門的な記述がされており、窮した時には頼りになる図鑑
- 今関六也『原色日本新菌類図鑑(T)』(保育社)
- 今関六也『原色日本新菌類図鑑(U)』(保育社)
写真はほとんどありませんが、イラストによって形態的特徴が描かれています。
しかし、イラストがなく、文章のみによって特徴が記述してあるものが多い。
(2) ある程度の種類が収録されており、本格的なきのこ探しをする上で必携の図鑑
- 『日本のきのこ』(山と渓谷社)
- 幼菌の会編『カラー版きのこ図鑑』(家の光協会)
- 本郷次雄『山渓フィールドブックス きのこ』(山と渓谷社)
- 高橋郁雄『北海道きのこ図鑑』(亜璃西社)
- 高橋郁雄『新版北海道きのこ図鑑』(亜璃西社)
- 長沢栄史『フィールドベスト図鑑 日本の毒きのこ』(学研)
- 小山昇平『日本の毒キノコ150種』(ほおずき書籍)
少々高いですが、1〜3のいずれかは持っていた方がよいでしょう。
いずれも、すばらしい写真が収録されていて、見ているだけで楽しいものです。
また3はハンディなので、フィールドに携行するにも便利です。
1は、やや記述が古いのですが、手元に置く価値は十分あります。
4と5は、きのこが発生する林種別の構成(つまり本サイトと同じ)になっています。
北海道のきのこについて記述したものですが、収録種類数が多く、十分参考になります。
6と7は、毒きのこに特化した図鑑ですが、毒きのこについて調べたいときには、十分便利です。
中には、これが毒きのこ? というようなのも載っています。
(3) ハンディなガイドブック
- 伊沢正名外『キノコ狩りガイドブック』(永岡書店)
- 本郷次雄外『検索入門きのこ図鑑』(保育社)
- 小宮山勝司『ヤマケイポケットガイド15 きのこ』(山と渓谷社)
いずれも小冊子なので、きのこ探しに携行するにはちょうどよい。
1は、収録数は少ないが、代表的な食用きのこと有毒きのこはのっています。
いきなりフィールドに出ても、きのこの名前は、ほとんどわからないでしょう。
食べられるきのこと有毒なきのこから始めて、少しずつ覚えていくのがきのこの正道です。
そういう意味で、1は有益ですが、きのこはこれに尽きるものではないのです。
また、この本には、アウトドア・インドアでのきのこ料理の手引きや、きのこ撮影の基本が説かれていますので、わたしはかつて、ずいぶん熟読したものです。
2の方が、もっといろいろなきのこについて収録されています。
こちらには、きのこ学の概説や食毒の問題、標本の作成法、撮影技術の基本などが説かれています。 3は、A6版というポケットサイズなので、持ち運びに便利。
(3) 地方出版によるきのこ図鑑
- 『栃木のおいしいきのこ』(下野新聞社)
- 五十嵐恒夫『北海道のキノコ』(北海道新聞社)
- 五十嵐恒夫『続・北海道のキノコ』(北海道新聞社)
- 高橋喜平外『雪国のきのこ』(熊谷印刷出版部)
- 柴田尚『改訂版 山梨のきのこ』(山梨日日新聞社)
- 『宮城県のきのこ』(宝文堂)
- 畠山陽一『秋田きのこ図鑑』(無明舎出版)
- 『静岡のきのこ』(静岡新聞社)
- 『とやまの山菜・きのこ』(北日本新聞社)
- 『九州で見られるきのこ なば』(環境調査研究所)
- 『岩手きのこ百科』(岩手日報社)
それぞれ、特徴のある図鑑類です。
印象批評になって恐縮ですが、ざっと特徴を記してみます。
1は、特においしいきのこ、おいしいきのこ、毒きのこというカテゴリー分けになっています。
チチタケについて、たいへんくわしくのっているのは、さすがにこの本だけです。
2と3は、ほぼ一般的なきのこを網羅した上、タコウキンやチャワンタケの仲間など、他の図鑑にあまり収録されていない種類が多くのっていて、役に立ちます。
4は、きのこ狩りの達人が経験則に則って書いた本ですが、猛毒種タマゴタケモドキが「普通食べているキノコ」に入っていたり、「赤いキノコで毒キノコはベニテングタケだけである」という論断など、あまりに大胆な説が提示されているので、とてもついていけません。
5は、林種別構成の基本的図鑑。
富士山に出るというフジイロフウセンタケというきのこがのっています。
6は、カラー写真がほとんどなく、白黒のイラストで図示されていますので、ちょっと取っつきにくいでしょう。
しかし、食用きのこの解説のところで、加熱したときに目減りするかどうかについて、事細かに記載されているのは、この本だけではないかと思います。
食毒については、本を書かれたみなさんの体験に依存しているようで、かなり大胆な説が示されていたりします。
7は、基本的なきのこはすべて収録されていると思います。
構成は少し変わっていて、食用菌、毒菌、薬用菌、雑きのこというカテゴリー分けになっています。
8は、発生林種別構成になっています。
富士山のきのこ写真が多いので、富士山に行くときには、役に立つと思います。
9のきのこ収録数は、多くありません。
10の「なば」とは、きのこのこと。基本的なきのこはすべて収録されています。
写真も美しい。
11は、「食」「毒」「その他」というカテゴリー分けになっています。
「ウエッコ」「オドゥタケ」など他書にのってないきのこが収録されているので興味深いのですが、ヤケアトツムタケ、キヒダタケ、ツチカブリ、ウスタケ、フジウスタケなどがまだ食用とされているなど、食毒の分類にはかなり疑問があります。
(4) その他のきのこ図鑑
- 菅原光二『釣り人のための山菜50きのこ50』(釣り人社)
- 横山竜夫外『きのこ採りの楽しみ』(永岡書店)
- 水野仲彦『山菜・きのこ・木の実フィールド日記』(山と渓谷社)
- 高木國保『山菜・キノコカラー図鑑』(日本文芸社)
1は、ごく一般的な食用菌や毒きのこがのっている程度。
2も、内容的にはほぼ同様ですが、料理についてやや詳しい。
3は採れる月ごとに分類してあります。収録してあるのは一般的なきのこのみ。
4はムック本。体験的な記述がされていて、それなりに参考になります。
かつて、ウスムラサキホウキタケは、この本で同定しました。
役に立つ面も多々ありますが、これらの本だけできのこを同定するのはぜったいに不可能ですので、(2)で記した図鑑類を机上に置かれることをおすすめします。
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