玉原逍遥記

 朝がたは、小雨模様。

 例年たわわに実をつけるヤマブドウに実がない。
 さてはクマタロウに先を越されたか。

 まずは、何度もブナハリタケをいただいた倒木にあいさつにいった。

 この木、ずっと以前はりっぱな立ち枯れだった。
 立ち枯れたまま、ブナハリタケを満身に付けていたので、木登りをしてきのこを採ったものだった。

 その木が倒れて、登山道をふさいだ。
 登山者が倒木を迂回して歩くので、いつしかルートが変わり、かつての登山道はヤブになって消滅した。

 真っ白になるほどブナハリタケをつけ、あまい匂いをふり撒いていたその倒木に、今年はホコリタケしか出ていなかった。
 一本の倒木にも歴史があるのです。

 登山道沿いには、ツエタケ、カバイロツルタケ、ドクツルタケ、クサハツ、カワリハツ、ツチカブリ、食えないホウキタケの仲間などがそこここに出ていた。

 尾根の上にあったガマズミの実が真っ赤。
 これはいただきます。(果実酒用)
 でも、クマタロウにもはんぶん残しておいてやろう。

 こないだ見つけたマイタケを思い出し、夢よもう一度と思うが、玉原にはミズナラがほとんどない。
 大木はブナとトチばかり。

 さる場所に植えたいので、トチの実もほしいけど、すばやいリスノスケがみんな持っていってしまうのか、いくつも見つからなかった。

 道ばたやヤブの中に、ムラサキアブラシメジモドキが多い。
 これはとってもきれいなきのこ。
 雑木林のアメジストだ。

 ムラサキフウセンタケ、ウラムラサキなど、紫色のきのこがでていた。

 立ち枯れや倒木に、ブナハリタケこそ出てないが、クロサカズキシメジ、ウスヒラタケ、ヌメリツバタケモドキ、ブナシメジ、ツキヨタケなど、それなりににぎやかだ。

 トンビマイタケはほとんど残骸と化していたが、生きたブナに出ていたひとつだけ、ちょうど食べごろのが見つかった。

 ベニヤマタケやオシロイシメジなどの写真が撮れたのはうれしかったが、ヒメベニテングタケがだめになっていたのはとても残念だった。

 *1997年9月10日に、玉原に出かけたときのお話です。