2月末に種コマを打ち終えた原木は、寒冷紗をかけた状態で、ずっと庭の隅に置いてあった。
この間、雨の日以外は、毎日2回ずつの散水を欠かさなかった。
水分を十分に補給し、雑菌の付着しにくい環境においてやることで、打ち込んだきのこ菌を活着させるのだ。
いよいよ5月の連休に入った。
今日は5月2日。天気予報では、4日から5日にかけて雨になるようだ。
ということは、今日明日のうちに、きのこ作業と農作業を終えなければならない。
原木は、本伏せの段階になった。
本伏せとは、菌糸を原木の中に蔓延させ(ほだ木作り)、時期が来ればきのこ(子実体)を発生させられるような場所(ほだ場)に移動することである。
ほだ場は、直射日光は当たらないが、木の葉越しの散光線がよく入り、風通しはよいが、湿度も十分、かつ近くに腐敗したものなどがなく、こぎれいな場所がよい。
そんなことを言っても、理想的な場所が、そうそうあるわけではない。
とりあえずは、直射日光の当たらない場所を探すしかないだろう。
私の場合、家からは少し距離があるが、親戚所有のスギ林の中を、以前から借りてある。
まずは、ひさしく養生させてあった原木を車に積み込み、数キロ離れたほだ場に運んだ。
釣り場に向かう国道は、レジャー客の車がひっきりなしに行き交っている。
ほだ場の近くでは、中高年ハイカーが黙々と歩いていた。
車の入るところからほだ場までは、一輪車を使って木を運ぶ。
足元が平坦でないので、バランスに気を使っても、何度か転倒した。
車とほだ場を数往復して原木を搬入し、伏せにかかる。
数年前に伏せたほだ木が残っているので、まずは前作の片づけ。
トウ鍬で、朽ちたほだ木を掘り起こす。
伏せこんだときには原木の姿をしていたのだが、今はほぼ完全に分解され、ぐずぐずの空洞と化している。
ナメコの植わっていたヤマザクラは、芯だけが分解されずに残っていた。
ヤマザクラよりコナラの方が分解されやすいようだ。
シイタケは鳥居伏せ、ナメコ・ヒラタケ・エノキタケは直接地面に伏せこむ(接地伏せ)。
接地伏せの場合、木と木の間は5センチくらいあけておく。
そうでないときのこが発生したときに、押し合いへし合いになってしまう。
並べ終わると、寒冷紗を掛け、四隅に石、上にスギの枝をのせておく。
このあたりには野ザルが多く、ときどきほだ木の皮をはいで、甘皮を食べるやつがいるからだ。
また、こうしておくと、秋にほだ場の草むしりをする際、寒冷紗をはいだときにいっしょに草も抜けてしまう。
これで、草むしりの手間がずいぶん省けるのだ。
これで本伏せは終わり。
こんどは、ぐずぐずに朽ちた腐木を車に積み込む。
これだけ崩れれば、畑の肥やしになるだろう。
職場の近くにある小作畑に回り、腐木をトウ鍬で粉砕して、サツマイモ予定地のうねの中にばらまいた。
途中、新緑まぶしい雑木林で拾ってきたシバ(落ち葉)を、植えたばかりのネギ苗の足元にかけてやる。
これでいくらか、乾燥防止になるはずだ。
ジャガイモは遅霜で、霜げてしまったが、トウモロコシは何とか持ちこたえたようだ。
うまくいくか、いかないか。
やってみないと、わからない。
へとへとになって家に戻ると、腹を空かせたニワトリがコケコッコと叫ぶ。
早くビールが飲みたい。 |