考古学の立場から、記紀神話に記されていることを読み解いている。
古代史については、文字史料が極めて少なく、残っている数少ない史料の解釈学になりがちだ。
解釈学にももちろん、意味があるのだが、史料自体の信憑性を検証することはほぼ不可能に近い。
それらは多く、トマス・ペインが言うように、でっち上げられた迷信的な物語である。
しかし。他に文字史料がなければ、それがでっち上げだとしても、無視することはできない。
文字史料を徹底的に分析し、その中に含まれる事実を析出させ、歴史を描くという作業は貴重だし、古代史は多く、そのような作業の積み重ねだった。
一方、考古資料のでっち上げが行われた事例はあまりない。
文字史料に記されていることを考古史料によって証していくのでなく、考古史料が示すことを文字史料と突き合わせていく方が、合理的だ。
本書は、そうした試みなのだと思う。
古代史は、そのような方法によって根本的に書き改められるべきではないかと思う。