戦後すぐの時期における、地域ボスと共産党との闘いを描いたルポ。
海苔の生産工程を知らないと、ちょっとわかりづらいが、木曽川・長良川の河口近くの浅海に海苔胞子を付着させたソダを立てる権利をめぐって、地域ボスの持つ利権が、杉浦氏ら共産党福江細胞が作成した壁新聞によって暴かれる。
警察は、共産党の撲滅を任務の一つとしていたから、地域ボスたちに杉浦氏らを名誉毀損の疑いで訴えさせる。(控訴審で無罪)
戦前には、日本中のあらゆる産業・宗教・社会的活動の場で、地域ボスによる利権あさりが横行していたのだろう。
それらの利権構造は、憲法が変わったからといって、何ら変わることなく、戦後も維持された。
戦後民主主義もまた、上からの民主化だった。
戦後の共産党は、組織は小さかったかもしれないが、ボス支配と真っ向から対決していたから、着実に支持を広げることができた。
そこには当然、多様な個性が集まっていたと思われるが、彼らを包含しつつ筋を通していけば、組織的に壊滅することはなかっただろう。
戦後すぐの時期には、知多や渥美における海苔粗朶闘争のように、地域から築き上げる民主主義運動が数多く存在したと思われる。
それらは、きちんと記録されなければならない。