レーニンが民主主義や民族問題に対してどのような立場をとったかを「再検証」している。
本書に対し、レーニンの片言隻句を引用して、自己に都合のよいレーニン像を描き出しているという批判があるのだが、社会主義をめざしあるいは社会主義社会を建設するうえで民主主義や民族問題を避けて通ることはできない。
すぐれて現代的な課題に対し、理論的に探究することは、まさに現代的な課題であろう。
著者がかつて共産党の最高幹部の一人だった点はやや、割り引いて読む必要があるかもしれない。
しかし読んでみれば、レーニン無謬論を論証するための本でないことがわかる。
レーニンだから正しいのではなく、レーニンだから眉唾なのでもない。
激動の歴史の中で、民主主義・民族問題とレーニンがいかに苦闘したかを知ることが必要だ。
本書によれば、レーニンは基本的に、選挙や民主主義手続きを尊重した。
誰も予想できなかった形で革命が展開する中で、民主主義的な手続きが全うされない部分も生じた。
革命とは、そのようなものである。
『国家と革命』で述べられている戦術論を、針小棒大に論評することに意味はあまりない。
著者が想定しておられる革命の姿は、この本を読んでも納得できるものである。
一方、官僚主義に関するレーニンの叫びは切実である。
中国でも日本でも、共産党の官僚主義の弊害は深刻である。