窪徳忠『庚申信仰』

 庚申信仰の源流とその変容についての、実証的な研究。
 参照されている日本と中国の文献量が凄まじい。

 著者は、20世紀までは確実に存在していた庚申の行事の源流は、道教の三尸思想にあるとされる。
 古代中国において、民間信仰と仏教と医学が混交した理論が存在した。その一部が三尸に関する考え方であった。

 それを平安時代の僧や貴族が学んで、今で言う庚申待のようなことを始めた。
 庚申待は、遊びの要素を含みつつ行われたが、基本的には健康や不老など、個人の幸福を求めて行われるならわしだった。

 三尸封じを目的とする庚申待は、仏教や修験道などと混交しながら民衆にも広がり、その由来等について各種の説が唱えられた。

 一つは、庚申とは猿田彦であるという説。これは、山崎闇斎が庚申信仰を神道的に解釈したようである。
 猿田彦つながりで日枝信仰とも関係があるとされ、庚申供養塔には、青面金剛像とともに三猿が登場する。

 もう一つは、庚申とは青面金剛であるという説。これが今も一般的である。
 青面金剛が三尸を抑える力を持つと説明されるので、中国由来の理論とも整合している。

 山里を歩いていると(山里に限らないが)、いたるところで庚申供養塔や青面金剛の石仏に出会う。
 本書を読んで、大いに納得できた。 

1956,11 山川出版社 2025,12,15 読了)

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