沖縄戦とは何だったのか、またどのようなものだったのかについて、決定版的な本。
沖縄戦が本土決戦のための時間稼ぎに過ぎなかったということは、定説だと言えるだろう。
なんのための本土決戦だったか、また本土決戦に際しどのような戦術が準備されたかなどについては、保阪正康さんの著作を読めば、俯瞰的に理解することができる。
本土決戦が泥縄作戦であり、沖縄戦もまた泥縄戦だった。
勝利することは初めから予定されておらず、いかにしてアメリカ軍に出血を強いるかという点に特化した作戦だった。
したがって、県民を守るということもまた、予定されておらず、県民は、何らかの形で作戦遂行の手駒として役に立てばよし、役に立たなければ邪魔者とみなされた。
戦争とはそういうものだと言ってしまえばそれまでだが、そんな理不尽があっていいはずはない。
沖縄戦の理不尽は、決して忘れられてはならない。
本書は、(たぶんだが)沖縄の戦場で見られた理不尽のほぼすべてを丹念に拾い出し、そのようなことが起きたのは何故かを執拗に追究している。
保坂さんの姿勢と共通するものを感じる。