松竹伸幸『シン・日本共産党宣言』

 日本共産党の党運営に一石を投じようとする本。

 これを読了したのは数日前なのだが(当サイトの「読了」日はこのノートを書いた日ということにしてある)、その数日間に著者は日本共産党から除名され、日本の現状を憂える人びとに大きな衝撃を与えた。
 共産党の指導部は、著者に引き続き、古参党員や自治体議員などを引き続き排除していこうという姿勢であり、それらの人びとに対し、久しく聞いたことのなかった気味の悪い悪罵を投げつけている。
 自分は50年以上、日本共産党を支持してきたものだが、このノートを書いている時点で、志位和夫氏・小池晃氏・田村智子氏らが排除されない限り、もはや共産党を支持できない。

 著者の主張の核心は、安全保障政策をめぐる提言で、「核抑止抜きの専守防衛」を主張する。
 日米安保条約と地位協定が日本の独立性を著しく弱め、対米従属の原因をなしていることは間違いなく、将来的なその廃止は必要である。
 しかし著者は、その主張は現時点において国民の多くが支持するものとなっておらず、共産党が国会で単独過半数を得て政権につくまで実現できるものではなく、「核抑止抜きの専守防衛」であれば、現在のリベラル勢力が合意できるとする。

 問題は、いかなる主張がもっともラディカルであるかではなく、実質を伴う広範な合意をいかに作り出すかである。
 著者の提言を直ちに実行できるかといえば、必ずしもそうではないかもしれない。
 しかし議論を始めるたたき台にはなり得る提言であろう。

 日本の左翼勢力には、意見の相違をとことん突き詰め、ささいな不一致点をこれ見よがしに見いだしては敵認定して排除または内ゲバに至る、古くからの作法がある。
 これはスターリンか、ことによるとレーニン由来なのかもしれない。

 現在の日本共産党には、誠実な古参党員も数多く存在し、自治体議員として地域住民のために身を粉にして頑張っておられる方も多い。
 志位氏らはなぜ、その党を破壊しようとするのだろうか。理解しがたい。

(2022,1 Kindle本 2023,2,11 読了)

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