19世紀なかばから第一次大戦までの列強と被抑圧民族の関係史。再読。
産業革命からさほど時を経ずして、飽くなき自己増殖力に燃える資本は国家を支配し、世界分割競争を開始した。
この時代に、資本による、世界レベルの非人間化が席巻した。
弱肉強食の酷薄な状況が世界を覆い、強者の論理が世界の常識だった。
この時代の被抑圧民族の歴史は、死屍累々たるものだった。
日本はそんな時代に世界デビューし、勝ち組すなわち帝国主義国の仲間に入ることをめざしてひた走ったのだった。
日露戦争前以降、列強は軍事同盟の時代を迎え、第一次大戦で一区切りを迎える。
本書は、概ねそこまでの歴史を、列強の戦略と被抑圧国側の抵抗とが織りなしてきた歴史を、ダイナミックに描いている。
本書が描いた時代は、帝国主義が複雑な仮面をかぶって経済的に侵略を図った第一次大戦後とは異なり、力の論理がそのままに世界を支配した時代だった。
それは弱肉強食そのもので、力以外の大義は何もなく、力による支配に容赦はなかった。
例えばアヘン戦争など、今となっては恥ずべき武力行使が大手を振ってまかり通った。
被抑圧国にとって、展望は見えにくかった。
そうこうする間に、例えば日本のように、あとから獲物を掠め取ろうとするハイエナもあらわれた
それらが解け難く絡まりながら世界戦争へと複雑化したのが、第一次大戦だった。