グローバル経済の正体を、切れ味よい言葉でわかりやすく明らかにしている。
多国籍企業とは、国籍を持たない企業(資本)と理解してよいのだろうか。
そもそも資本にとって、国境など意味をなさない。
そのような資本が、国家という被り物をかぶって世界をうごめいているというふうに理解すればよいのか。
国家は資本の被り物であり幻想なのだが、生の人間を、物理的な制度によって支配するから、抵抗者の多くは、敵は国家を支配する人々だと誤解し、政治家や圧力団体上層部に属する人々を攻撃するのだが、そのことによって真の収奪者の姿が煙幕に隠されることもある。
より自覚した人々が国家を取り戻すことは、可能性としてはありうる。
自覚の程度はさまざまだろうが、2020年現在野党に属している人々の相当部分が、真の収奪者の新たな下僕と成り下がるのは避けられまい。
本質的な部分に手をかけようと試みたのは鳩山由紀夫氏だったが、彼は、官僚の謀略によって退陣に追い込まれ、さらに収奪者の手兵によって人格的な攻撃にさらされ、現在に至っている。
本質的な部分に触れたものはこうなるという見せしめであり、「日本」の公開処刑ともいえる。
アメリカの反グローバリズムはトランプ政権を生み出した。
著者が語るように、展望は必ずしも明るくない。