「日本」の国家のあり方を決めているのは「日本」政府ではなく、日米合同委員会であるということの法的根拠について、解説した書。
国民の多くは、「日本」の最高法規が日本国憲法であると考えているが、じつはそうではない。
「日本」の司法は、政府の行う重要な政治的テーマについて審査しない。
「統治行為論」と称されるこの理論は、高校の社会科教科書にも、当然のことのように記載されている。
従って、条約やそれに伴う国内法に違憲の疑いがあっても、司法判断を求めることはできず、実質的に条約は、憲法以上の最高法規として機能することになる。
条約に基づき、「日本」の主権を大きく制約している日米関係の諸問題を制御しているのは日米合同委員会だから、「日本」の政策や制度は、ここで方向づけられ、官僚が法制化し、国政与党が追認し正式にて決まる。
しかし条約は、批准されなければ効力を発することができない。
本書によれば、条約の裏には密約が存在し、その内容は国民=国会には知らされない。
密約とて行政に係る文書だから、アメリカではいずれ公開される。
「日本」政府にとってそれはマズイことだが、とりあえず「そんなの知らん」と言っておけば、それ以上追及されることはないし、「日本」側は永遠に公開しないでおくことが可能になっているから、それに関わった政治家が責任を追及されることもない。
このような仕組みで作られる「日本」とは、アメリカ軍のプレゼンスを軍事的・経済的・制度的に支援するためにのみ、存在する疑似国家である。
以上のようなことが書かれているのだから、たしかにこれは、知られては困る事実である。
仕組みを変更するのは非常に困難だが、制度上は最高法規である憲法を機能させることが、一つの歯止めにはなると思われる。