対外関係を軸として戦国時代・江戸時代初期までを概観した書。
類書と異なる切り口から戦国時代を叙述しているので、とても新鮮に感じる。
一つは、世界の産銀の相当部分を占めていた日本産銀の製法(灰吹法)に関する記述である。
この方法が確立されたことにより、列島は巨大な産銀国となった。
戦国大名にとって、銀山占取は経済力を強化する上で決定的な意味を持った。
もう一つは、16世紀末東アジアは、集権国家形成に向けた流れの中にあり、豊臣秀吉による「天下統一」や朝鮮への侵攻も、ヌルハチによる明国打倒もその流れの一つとして把握できるという指摘である。
秀吉が失敗しヌルハチが成功したのは、東アジア情勢をどちらがより的確に把握していたかの相違にもよるという指摘は、なるほどと納得できる。