同調圧力について考察し、それをしなやかにかわす方法について述べた本。
「日本」社会の一つの構成要素である共同体が個人の自立を妨げる要因の一つであることについては、これまでも言われてきたし、事実だろうと思う。
本書には、その先への踏み込みがほしかった。
若い人々向けに書かれているから「同調圧力と戦え」とは書きにくいのかもしれないが、人は類としての人である以前に、個である。
個であることが、彼の尊厳の根拠である。
それを断固として書かなければ、「日本」社会の生きづらさはなくならない。
同調圧力は排除圧力へと容易に転化する。
国粋主義者から革命家まで、他者を排除するのが大好きだ。
摩擦をなるべく起こさずに自己を生きる方法を著者は模索しなさいと言っているが、それでは空気に飲まれてしまうのではないかと思う。