壮絶ないじめを受けている男女中学生の心の交流を描いた小説。
と思ったのだが、最後にかなり陰惨と言える結末を迎える。
苦しい毎日を送りながらも、クラスメートの二人は、自分たちがおかれている境遇を、懸命に解釈しようとし、お互いがどんな存在なのか理解しようとしていた。
そこには中学生らしいピュアな恋情も、垣間見える。
いじめに加わる同級生の、乾いた、観念的な人間感も語られる。
そこに流れるリアルに、読者は共感しうるだろう。
しかし、小説だからといって、物語を荒唐無稽に展開する必要はないのではないか。
荒唐無稽な中に現実以上のリアリティを描くのが文学世界だろう。
締切が近くなっちゃったからこんな結末になったのかとさえ、思ってしまう。