山内一豊と千代を中心に、戦国大名の家族について考察した書。
戦国大名の妻たちの多くは、夫とともに出世をめざして行動していたのであり、家庭を守るという意味での「内助の功」にとどまっていたのではないと述べている。
司馬遼太郎氏の『功名が辻』は、一豊と千代の関係を、千代が一豊を育てようとしたように、コミカルに描いている。
小説にあるエピソードがすべて史実であったとはいえないが、年少の浪人に過ぎなかった一豊が初代土佐藩主に出世するには、夫婦一体となった戦いが必要だった。
本書には毛利元就や池田輝政の家族も紹介されており、戦国大名たちにとって、武力・経済力・策略だけにとどまらず、一体となった家族力もまた重要だったことを明らかにしている。
考えてみれば、それは何も戦国大名に限ったことではなく、人間関係の中で自分の立場を築いていくとはそもそも、そういうことが前提として必要なのだろう。