BC級戦犯裁判の意味を考察した書。著者自身もその一人として服役した方である。
BC級戦犯裁判は不条理の極みである。
帝国陸海軍では、上官の命令は天皇の命令であり、不服従はあり得ない。
にもかかわらず、命令に従った行為が犯罪と判定された。
そうなるとわかっていれば、誰が罪なき人をむごたらしく殺害できただろう。
捕虜虐待や殺害が犯罪であれば、連合軍も同罪であるはずだ。
東京大空襲や原爆使用もまた同様である。
しかし、それらに責任ある者たちは裁かれず、終戦を早めたと評価された。
戦場に出ることなく、机上の作戦を現場に強いた帝国陸海軍の幕僚たちは責任を問われず、次なる活動場所を、GHQや警察予備隊に得た。
処刑された1000人近くの人々の死に、どういう意味があるのだろうか。
著者はそれを問うている。
戦後世代はそれをこそ、考えなければならない。