東京新聞記者による体験的新聞記者論。
著者がなぜ新聞記者を志望するに至ったかや、駆け出し記者時代にどんな経験をしたかについて語っている。
新聞を含めマスメディアの衰退が指摘されている昨今、新聞記者たるものは、このような姿勢で取材してほしいと思わずにいられない。
読んで面白かったのは事実だが、できれば若い人たちに、こんな本を読んで欲しい。
人が天職にたどり着くには、必然や偶然が大なり小なり影響する。
人生の若かりし日々はそのような必然や偶然の流れに翻弄されるのだが、肩をすぼめてやり過ごすしかない流れとはうまく付き合いつつ、真正面から受けとめなければならないときには流れに正対して立つ局面も必要である。
本書は、各局面でどのような姿勢で立つべきかを、著者の半生を通して語っている。
職業とは、単に自分の能力や時間を売って報酬を得るだけの営みではないと信じて、生きていくべきである。
この本を読めば、そのことがわかってくる。