ヨーロッパ哲学のアウトラインを述べた本。比較的わかりやすい。
本書は、ギリシア哲学とヘブライ思想をヨーロッパ思想の源流とし、その後の展開について概説している。
ギリシア哲学は、合理的精神と探求する精神を思想の土台に据えたようだ。
中世ヨーロッパでは、その真逆が蔓延していたかに見えるが、そうではなく、不合理極まる教会権力をいかに合理的に説明するかという思想的苦闘が続けられていた。
それは近代以降の展開を準備した。
ヘブライ思想は、旧約・新約聖書という形でヨーロッパ思想の大前提をなした。
創造主である神が存在し、神に似た人間が存在するという前提が、ヨーロッパ思想の大枠だった。
それはたいへん奢った考え方なのだが、おそらく20世紀までほぼ全世界を支配している。
デカルトほど強固な懐疑精神にもかかわらず、ヘブライ思想は否定し難かった。
従ってニーチェの独断は、画期的だった。
21世紀に入ったわけだが、思想的転換は避けられない。
手がかりは例えば、「日本」の修験道などの中にあると思われるが。