『日本海軍400時間の証言』で語られた内容に関する鼎談。
海軍という組織がもっていた問題点や、太平洋戦争における(組織としての)海軍の責任が、るる語られる。
問題点はおおむね、『証言』で明らかにされているが、東京裁判のA級裁判で陸軍関係者で死刑判決を受けた人が六名、海軍でゼロというのは、実態を反映したものとは言えない。
これらの労作によって、海軍は開戦に消極的だったという印象は、否定された。
帝国陸軍と海軍は対立し、拮抗しあっていたと考えられているが、じつはお互いの相互作用を利用して開戦へと「日本」をリードしていったというのが正確なところだろう。
軍は戦争したがるものであり、戦争においては、兵士や国民より敵に打撃を与えることが最優先される。
そして重要なことは、陸軍も海軍も失敗を隠蔽しようとし、責任を取ろうとしない。
組織にとって、隠蔽体質は腐敗の最たるものである。
隠そうとする限り、どこかが腐り、腐敗は必ず拡大する。
反省会で議論されたことが不十分だっという考え方もあるかもしれないが、ここで多くの旧軍人が真剣に語り合った事実は、顕彰されなければならない。
陸軍や官僚は、その点、どうなのか。