前著と同タイトルだが、本書には、<逃げ切れ! 日本の医療>というサブタイトルがついている。
ここ10数年の「日本」政治は、この「国」をどう売るかという問題が焦点なんだと思われる。
売り先はすべて、アメリカである。
この間、保険・農業・金融などが続々とアメリカに売り払われたのだが、この次の焦点は、医薬と医療らしい。
本書は、医薬・医療の売却が企てられつつある今、列島民がどうすべきかについて、示唆している。
アメリカの医療が「産業」であるのに対し、「日本」ではそれが「社会保障」の一部である。
医療が「社会保障」として確立されて久しいため、列島民がそれを当然視しているのも無理はない。
アメリカにおいて医療は、富裕層にのみ許される贅沢であることを、列島民の多くは知っていない。
オバマが実現したのが「日本」で実施されているのと同様の制度だと、自分も勘違いしていた。
カネを儲けるのは人間だが、命をカネで量り売りするという現実は、あまりに醜悪である。
アメリカとは、カネが人を支配する世界である。
そこに何か希望のようなものを見るのは妄想でしかない。
「日本」を売ろうとしている人々はおそらく、それに気づいている。
彼らは、自分に入る少しの分け前や名誉が欲しいにすぎない。
死人に群がる餓鬼の姿が、見えてきた。