主として日本産カメムシの生態について、わかりやすく解説した書。
じつに多種類のカメムシが登場するので、名前をとても覚えきれない。
きのこの名前なら覚えることができるが、カメムシの名前は苦手だ。
虫は嫌いでないが、カメムシにはあまり深い関心がない。
暮らしの中で深い関わりを持っているのは、クサギカメムシ・マルカメムシ・種類名不明のサシガメである。
クサギカメムシは、秋になると大挙して飛来し、屋内に入り込む。
そのときにはおとなしいが、春になると屋外に出ようとして、家の中を飛び回る。
おそらく数千匹にのぼるクサギカメムシが家の中を飛び回り、這いまわると、非常に迷惑である。
ストーブを燃やしているときには、捕獲した数十匹を封筒に入れてプールしておき、燃やしてしまう。
ストーブに火のないときには、プールしたカメムシを、ついでのときにトイレで流す。
カメムシには悪いが、この10数年間に、膨大な数のカメムシを殺戮した。
面白いことに、クサギカメムシが好む家とそうでない家がある。
山間部の集落の場合、カメムシが最も多く集まるのは、もっとも日当たりのよい家である。
谷に近いお宅では、カメムシがほとんど来ないらしい。
冬の間、クサギカメムシが隠れている場所はさまざまで、とりあえず狭いところであればよいらしい。
春になって出てくるのだが、屋内で冬を越したクサギカメムシがすべて春に飛び出すわけではない。
狭いところで眠ったまま、死んでしまうカメムシもかなり存在する。
そいつらの死骸はそのままになっているから、ある日、本を開いたら、カメムシの死骸が挟まっているということは、ざらにある。
これも迷惑である。
種類名不明のサシガメがクサギカメムシに混じっていることがある。
こいつに刺されると痛いので、見つけしだい処理しなければならない。
どういうわけか、他の種類のカメムシは、冬に屋内に進入することがほとんどなく、おかげで、あまり目にする機会もない。
畑では、マルカメムシが大豆につくと、迷惑する。
窒素過多だと、こいつが集まりやすいかもしれない。
近ごろは大豆に肥料を一切与えないので、あまり見なくなった。
本書には、カメムシのカラー写真が多数収録されている。
屋内でかつて、アカスジキンカメを見たときに、その美しさ・面白さを感じた。
きのこもそうなのだが、よく見れば、生き物の姿は、絶妙な造形である。
カメムシへの関心をかきたててくれる好著だった。