「日本」を代表する企業であるトヨタがどのような会社かを告発した本。
かつてネットで、BMW社の社長が「自分の会社がただ存在するだけで何十万人が食べていけるのだから、BMWにとって儲けをあげる必要性はない」と言っているという記事を読んだことがある。(ソース忘却)
トヨタはすでに、世界最大の自動車メーカーである。
トヨタの幹部は、自社の存在意義をどのように考えているのだろうか。
法人税のがれのために外国に出ていくという話を聞いたことがないから、「日本」を代表する企業としての矜持は、持っていると思われる。
それは敬意に値する。
また、この告発本を見ても、明らかな違法行為を行っている事実もない。
しかし、2兆円の利益をあげてなお、苛酷なコストカットを追求して非正規雇用に依存したり、権力に多額の献金をしたり、自社の事業の環境整備を行政に行わせたりする体質は、セコすぎるのではなかろうか。
トヨタが、尊敬できる会社に変貌するのに、コストはさほど掛からないだろう。
従業員すべてを正規雇用化し、権力へ献金するお金を社会的費用へ出資し、過労状態の従業員などいないような労務管理を徹底すればよい。
本書は、トヨタ車そのものへもケチつけしているが、自動車としてトヨタの製品は決して悪くない。
この会社がほんの少し変われば、「日本」を変えることができるだろう。
トップがもう少し大人物であれば、面白いことになるだろうに。