1970代から1980年代にかけてのヒマラヤ登山は、「無酸素」とか「アルパインスタイル」とかに価値があるという風潮が強かったらしい。
著者らもその流れに乗って、シシャパンマを三日で登るという計画に挑戦する。
一読して、著者らの視野の偏狭さが印象的だ。
著者らには、山頂しか見えていないし、三日(ないし数日)で登山を完了することにしか、意識をおいていないように思える。
「日本の山とヒマラヤとは違う」かもしれないが、著者らの山の登り方は、あまりにも貧しすぎると思う。
このパーティは、ベースキャンプへのアプローチで世話になった運転手を、対等の人間とは考えていないし、山の中で不要な装備・ゴミを投棄するのは当然と考えている(これは当時のどの登山隊にも共通だったらしい)。
読んで面白い現代ヒマラヤ登山記を読んでみたいものである。