遺伝子を操作することができる社会が到来しつつある中で、今後、どのような問題が生起するのかを縦横に語った対談録。
ヒトゲノムが解読されたといわれたが、個々の遺伝子の役割がすべて解明されたわけではない。
とはいえ、世界じゅうの「専門家」が、国家的支援のもとで、これに取り組んでいるだろうことは、想像できる。
研究者にとって、遺伝子解析は純粋に知的関心を充足させる行為かもしれない(そうでもないかもしれない)が、市場経済という舞台で踊る国にとっては、国家的課題なのである。
なぜなら、遺伝子は、特許になるから。
特許は、イノベーションの先端で戦う際の武器である。
次に訪れるのは、選択的出産とか、人間改造であり、ヒトクローンの制作である。
話者たちは、仮に制度の枠をはめても、技術的に可能なことは必ず、誰かが実行すると言われている。
たぶん、そのとおりなんだろう。
そうなれば、現在みたいに、ハイタレントを教育制度によって選抜育成する(これは植物に対し行われる手法である)という面倒な方法は必要でなくなる。
技術を用いた人間のハイタレント化は、経済的に裕福な特権層にしか許されないから、話者たちが言うように、人の亜種化が進んだりすることも、ありえない話ではない。(選抜育成によってすでにそれが始まっているかも)
本書の題名どおり、一人ひとりがどうするか、問われる時代になってきた。