震災・原発事故当時首相だった菅直人氏の回想と現在の考えを述べた書。
震災と原発事故という極限的な状況下で、菅内閣が一点の手落ちもなく対処できていたかについては、わからない。
ことによると瑕疵があったとしても、本書を読む限り、致命的ではないという印象を持った。
当時の最大野党は自民党だったが、党首の谷垣という人は、本書によると政権への参加を断って、政権委譲だけを求め続けた。
自民党は、事故対応したくないから政権に参加したくなく、実現するわけがない政権委譲を叫び続けたのだと推察される。
菅氏の後継者の野田佳彦氏は、「原発ゼロをめざす」と言いつつ、原発再稼働や原発輸出に道を開いた。
野田氏の政治的本質は修正自民党なのだろうが、菅氏はそうではなさそうだ。
千年に一回のリスクであっても、地球を取返しのつかないことにしてしまうリスクを犯すのは愚かだと、菅氏は言っている。
ものごとの本質をついた言葉だと思う。
氏は、脱原発と自然エネルギーを、政治家として終生の課題にすると述べられている。
このような政治家が必要だ。