佐賀県の専業農民である著者のエッセイ集。
食べずに生きることはできないのに、食べ物を作ることに無関心な人々が激増している。というか、現時点でほとんどの「日本人」は、食材にまともな関心を持っていない。
食べ物が不足して難儀な思いをした時代は、さほど昔の話ではない。
その時代には、「食の安全」がどうとか、言ってる場合ではなかっただろう。
しかし今は、そんな時代でない。
もちろん、今だって、みんながリッチなわけではなく、貧しい人々がむしろ、増えている。
誰だって、高い買い物をするのはイヤなので、少しでも安いものを求める。
そのこと自体は健全なのだが、せっかくカネを浮かせても、電力会社や通信会社やパソコンソフト会社や携帯電話メーカーに、ハンパでない金額を貢がされていることに、違和感を感じていなそうなのが、腑に落ちない。
現状の食料価格がリーズナブルとは、思えない。
それらを作るのに必要な費用・手間に対し、安すぎるのである。
これをもっと安くしてほしいという人は、頭がどうかしているのではないか。
食材の価格がまたちょっとばかり下がったところで、またまた、いろんな会社に貢がされるのかがオチなんだが。
食べ物を馬鹿にしていると、食べ物に泣かされるだろう。
鶏にインフルエンザを移されたり、脳がスポンジになるなど、ひどい目にあってる人が出てるのだから、いくらか想像力を働かせて、考えてみればよかろうに。
まるで著者のエッセイみたいになってしまった。
著者が生きていたら、TPP交渉に参加するという今、どんなことを書くだろうか。