中山峠をはさんで、しらびそ小屋の反対側(諏訪側)にある黒百合ヒュッテ主人のエッセイ。
この本にも、昭和20から30年代の北八ヶ岳一帯の森林伐採の状況が記されている。
稲子湯からミドリ池への軌道については、やや詳しく記されていて、ここのトロッコに原動機はなく、空荷になる登りでは馬が引き、木材を積載した下りでは、人がブレーキをかけながら惰性で動いたようだ。
機関車に引かれた奥秩父の軌道と比べると、こちらはカーブが激しく、運行にかなり技術を要したのではないかと想像される。
黒百合ヒュッテには、20年ほど前の暮れに泊まったことがあるが、記憶はあまりない。
美しいお花畑だという草原前にあるテント場では、2010年の夏に幕営した。
ずっと以前に尾根一つ越えたところにあるオーレン小屋前を真夏に通りかかったことがある。
そこには、クロユリ・クルマユリを始め、各種草原の花が咲き乱れており、美しいところだった。
現在の黒百合ヒュッテ周辺には、花が非常に少なく、草原はネットで覆われている。
おそらく、みんな鹿に食われてしまったのだろう。
黒百合平のお花畑が復活するのはまだずいぶん先になるだろうが、いつかクロユリの咲き乱れる黒百合平を訪れてみたいものである。