30歳前後の若い人々によって東京都檜原村で立ち上げられた林業会社・東京チェンソーズを、代表の青木氏の軌跡を中心に描いたルポ。
青木氏には、仕事の関係で、チェンソーワークの実演を見せていただいたことがある。
林業は、新規参入がむずかしい業種の一つではないかと思う。
ここでは、デスクの上でキャリアアップの図れる、例えば情報産業などと違って、長年のキャリアや熟練技術、勘や感性による森林の読みなどが求められる。
林業は息の長い仕事である。
だから制度的なものというより、山主は、実績があり信頼できる業者にしか、仕事を依頼しないだろう。
若い人々がそこに参入するには、技術や知識・感性などを備えているとともに、それが山主に伝わっていなければならない。
青木氏やここに出てくる東京チェンソーズのスタッフは、知識や技術を持っているとともに、古い世代にはない、未来の森に関する感性や抱負を持っておられるから、この人々に山を託してみたいという気持ちになる山主も多いと思われる。
現在の拠点は檜原村について、詳しいことは知らないのだが、東京に比較的近い山村だから、どのような状態であるか、おおよその想像はつく。
技術や知識を持つ若い人々がやりがいを持って取り組める林業の企画という点で、現状成功しておられるのは凄いと思う。
さらに一歩進んで、地域の中でどのように根ざしていくかについても、試行錯誤が始まっているようである。
できれば、創業後10年後、20年後のようすについてのルポも読んでみたい。