同じ著者による『エビと日本人』(1988年)の全面改稿版。
本書には、エビをめぐるこの20年の変化が追われている。
かつて最大のエビ消費国は日本だったが、アメリカのエビ消費量が激増し、現在は日本を上回るエビ食い国となっている。
エビ生産のトップは一貫して中国だが、中国のエビ生産量は激増しており、第二位のインドネシアを大きく引き離している。
また、ベトナムのエビ生産も急激に増えている。
生産されるエビは、かつて主流だったブラックタイガーが伝染病のために壊滅し、中央アメリカ原産のバナメイが主流となっている。
エビの大生産国だった台湾では、エビ生産自体が収束し、ハタの養殖へ転換しつつある。
「日本」のエビ食のグローバル化は一段と進展し、エビそのものだけでなく、えび天やエビフライの輸入が増えている。
そうした中で、インドネシアのエビ養殖現場の問題は、変わっていない。
現場の労働者の賃金は低く、エビ単価も嘘のように安い。
養殖池を造成するために、マングローブ林が加速度的に消滅しつつある。
グローバル化の流れに棹をさすことができるかどうかは、不透明だが、エビのフェアトレードという試みも始まっている。
考える力のある人から、「日本」人の食に対する姿勢を見直すことから始めるしかないだろう。