登山口から下山口まで歩く山歩きがダメだというわけではないが、そんな山行にはふくらみがないという気がする。
亡くなった杉浦清石さんの釣り紀行を読んでいると、渓は滝・瀬・淵だけでなく、周囲の景観を味わい。楽しみながら釣られていることがわかる。
それだけでなく、渓近くの見るに値するものを眺め、杣道で会う人や旅館の主人と言葉を交わし、渓をめぐる一帯をじつによく見られている。
今は時間がないので不可能なのだが、釣りをするなら、そんな釣りをしてみたいものだと思っている。
山歩きも同様だ。
できれば、尾根を歩き、神社仏閣をはじめとする旧跡なども見物した上、付近の川なり湖で魚と戯れることができれば、登山としては完成形と言えるように思っているのだが、、多くのハイカーはガツガツと尾根を歩き、多くの釣り人は魚しか目に入らないかのようである。
著者は、私の考える完成形の、しかも桁違いにスケールの大きな山歩きをされている方である。
文章はうまいし、写真も美しい。
時間ができていい釣り・山歩きができるようになったときに備えて、今から山行・釣行文を書く練習でもしておこう。