長野県木島平村に週末暮らしを始めた出来事記。
生活の拠点を村に移すのでなく、ライターとしての職業は都会の自宅でこなし、山村生活をエンジョイしようという暮らし方である。
週末ハウス的な暮らし方でも、周囲との人間関係を完全に絶つわけにはいかないから、面白いことや面白くないことに巻き込まれるが、基本的にはお気楽な生き方である。
税金を負担せず、集落を維持するための諸負担や雪かきや道路清掃などの労働奉仕も負担せず、集落の年中行事に観光客として参加することはあっても、係を負担することはない。
それでよいといえばよいのだが、正直言えば、いい気なものだと言いたくもなる。
とはいえ、週末だけであっても人が住むことで、草も生えないし、ひと気のあることはいいことだ。
この本が書かれたのは、バブル期のいわゆるリゾートブームの直前である。
そのころ、陽も射さない別荘地を不当な値段で売りつけるインチキ商売が横行した。
国有林でも、そんな商売をやっていたと記憶する。
お気楽田舎暮らしを夢見て来てはみたが、とても住めたところではないことが判明したが、バブルがはじけて売るに売れない廃屋と化した「別荘」が、秩父には多い。
本書が、そんな罪作りの一助とならなかったならば幸いだが、どんなものだろうか。