この本を読んでいて、職場の「不機嫌化」について思い当たる人は多いと思う。
自分が今までに体験した職種は一つだけ(教育職)だが、その職種の中ではほぼ、ありとあらゆる業務を経験してきたと思う。
自分の職種にあって、特定の仕事のスペシャリストであることは、決して誇れることではないという思いがあった。
奉職以来月日が流れて、まわりを見回すと、いつの間にか、本書のいう仕事のタコツボ化が進んでいて、何でも屋(便利屋)化した自分を見つけて苦笑する。
自分は何でもやることにいささかのプライドも持っているから、現状に満足しているが、もっと若年の人々にとって、果たしてこれでいいのかという思いはある。
そんな心配こそ、自分の仕事でないのだが。
職場のタコツボ化は不機嫌化に向かう。
パソコンに対して何ごとか罵っているのは滑稽だが、それは自分の姿でもある。
今のところ、自分の周りが職場の険悪化にまで行っていないのは、チームワークで仕事をしてきたベテラン世代の比率が高いからだと思う。
実績主義的賃金査定はすでに導入されたが、査定を担当する管理職がチームワーク世代だから、その査定は思いやりに満ちていて、県庁トップが求めているわれわれ教育職員の数値的成績査定は困難だろう。
もっとも実績主義は、すでに破綻しており、職場の人間関係を破壊しただけでなく、事業所自体の業績悪化をもたらすことがおおむね証明されている。
実績主義の軌道修正は必至だろう。
本書には、不機嫌化した職場のマイナス面を列挙するだけでなく、協力し合うことができ、実績もあがっている職場の実例が紹介され、できるところから始める職場作りのノウハウまで提起されている。
そういう意味で、触発される点も大だった。