イギリス系アメリカ人がネイティブ系アメリカ人をどのようにして殲滅して「アメリカ合衆国」を作ってきたかを略述した書。
著者は「『アメリカ』は果して可能か」と問いかけている。
侵略者としてアメリカ大陸に登場したイギリス系アメリカ人は、ありとあらゆる詐欺・破約・暴力によってネイティブ系アメリカ人を虐殺・放逐した。
詐欺による契約が有効でなければ、「アメリカ合衆国」は無効である。
破約が許されない場合も、「アメリカ合衆国」は無効である。
正当な理由なく人間を虐殺することなしに成立できなかった国は、成立すべきではなかったと言わざるを得ない。
「アメリカ合衆国」が出発するにあたっての「独立宣言」にうたわれた美辞麗句は、「アメリカ」の現実のもとでは空疎で無内容な経文に過ぎなくなる。
インチキ国家としての「アメリカ合衆国」はともかくも、「成立」した。
では、この「国家」はアジア人やアフリカ人に対し、どのように接してきたか。
著者はここで、「ソンミ」を想起せよと述べる。
ここは、「ソンミ」でなく、「ヒロシマ」や「ナガサキ」「東京大空襲」「イラク」であっても、同様だろう。
詐欺・破約・暴力という「アメリカ」の体質は、なんら変わっていない。
「アメリカ」は、自己のアイデンティティを否定するところから出発しなければならない、ある意味では哀れな国だ。
だからアイデンティティの自己破壊は、「アメリカ」人にとって特異なことではない。
アメリカ人が自己を破壊するのは勝手だが、人類を道連れにしようとする点は、危険きわまりない。
ネイティブを殲滅したときに、彼らはどのような知恵・技・思想を滅ぼしたのか、一つ一つ復元してみてみたい。
ついでに言えば、こんな「国家」に盲従しようとするには、よほどの理由がなければならない。
この国の指導者は、ヒロヒトの命と引換に、何を売ってしまったのだろうか。