稲本正氏による日本の森紀行。
何人かの森紀行を読んでみたが、書き手の立場によって見るところが違っていて面白い。
森だけでなくその森とかかわりながら生きる人々を取材されている点がこの本の特徴だろう。
もともと雑誌に連載されたものだからか、否定的な言辞がほとんど見られないのが、やや不審ではある。
今の時代、日本の森林環境について語るなら、半ばは悪口雑言にならざるを得ないと思っているから。
本の半分近くを占めている、姉崎一馬氏による森のカラー写真がすばらしい。
写真を見ているだけでもうっとりできるが、やはり実際に出かけて自分の目で見てみたい。
要所が記された略地形図があるので、時間があればかなりじっくり、これらの森を味わうことができそうだ。
身体の動くうちに、いい森をもっとたくさん見てみたいものだ。