著者の本は、『クマを追う』(1991,5 どうぶつ社 ISBN4-88622-418-0 C0040 P1800E)以来、二冊目でした。
山歩きや渓流釣りを続けてきましたが、先月、奥秩父の林道で小さなクマに会ったのが、野生のクマを見た最初です。
クマのテリトリー深く入り込むことが多いわりに、クマに会うことはなかったのは、ずいぶんあちらの方で気を使ってくれていたからだったのでしょう。
東大秩父演習林のホームページによれば、私がよく行くフィールドは、7〜8平方キロに一頭という、なかなかのクマ高密度地帯だからです。
私の住む地方でクマが話題になるのは、西秩父あたりでの、秋の果樹荒らしが多いようです。それも、ここ数年は、夏の暑さが幸いしてドングリが豊富なためか、あまり話題になっていないようです。
奥秩父では、奥山が豊かだから、人里で人間とトラブルを起こすことも少ないのでしょう。
この本には、クマがどの季節の何時ごろには、どういうところでなにをしているかが、明快に書かれています。
たとえば、初夏は、キイチゴの茂った沢沿い。
夏の終わりにはオニグルミの木。
あ、あそこだ。とぴんときます。
著者は、「『会う』『会わない』はあなたしだいです」とおっしゃっておられます。
うれしいお言葉です。
出会いがしらはパスしたいですが、私は、できれば、あのクマに再会したいと思っています。
(ISBN4-635-23002-3 C0045 P1275E 山と渓谷社1996,10刊 1997,6,27読了)