建設省によるダム建設に反対するのは、国家を相手の、絶望的な闘いとならざるを得ませんでした。
もちろん、都道府県による公共事業とて、安易に計画が撤回されるケースは、ほとんどなかったと思います。
その数少ないケースが京都・北山の鴨川ダムです。
ダムは自然を破壊し、故郷と地域を破壊するからダメ、というだけでは、鴨川ダムの建設を阻止できなかったかもしれないと思います。
ダム反対運動を組織された岩屋山志明院の田中真澄師の文章を読んでいると、京都の歴史の中の鴨川と雲ヶ畑との関連、雲ヶ畑地域の生態系、ダム建設による治水効果への具体的な反論など、多岐に渡っています。
これが京都の文化なのだなと思います。
それから、密室でことを進めることへの京都市民の反発を見ていると、さすがに歴史のある町だなと感じます。
雲ヶ畑には、一度だけ山歩きに訪れたことがあります。
あまごのいそうな、きれいな淵などをのぞき込んだものでした。
いつかまた、行ってみたい山里です。
(ISBN4-938427-59-1 C0036 P1700E 1992,4北斗出版刊 1997,6読了)