江戸時代に、囲米という制度があった。
作物の出来柄は、天候によって左右される。この時代にコメは、単なる食糧でなく、お金と同様の機能を持っていた。
百姓は税(年貢)として米を納め、領主(殿様)は納められた米を換金して諸費用にあてた。
だから、コメの不作は、社会の機能不全を招きかねない案件だった。
幕府と大名は、不測の事態に備えるため、コメを備蓄し、コメ不足が発生したときに、それを放出して社会の安定をはかった。これが囲米である。
江戸時代以前に、そのような制度はなかったから、凶作が起きたら羅生門の世界が現実だったと思う。
今の政府も、江戸幕府のやり方を踏襲していて、食糧法に基づいてコメを備蓄し、有事に備えている。
ここで想定されているのは、主として自然災害などによる凶作であって、コメの価格高騰とか原因不明のコメ不足などではない。
前の農水大臣が「食糧法には価格の安定なんてことは書いてあません !!」とドヤ顔で答弁したことが記憶に新しいが、彼は官僚から「食糧法の目的は価格の安定もありますが、基本は自然災害などによる凶作に備えることです」とレクチャーしてもらったのに、前半部分を聞いてなかったか、聞いた途端に記憶から抜け落ちてしまったのだろう。
人間にはよくある間違いだから彼を馬鹿にするのはよくないと思うが、これが答案だったら、おれならバツにするか、大サービスでせいぜいサンカクかな。
立憲の原口一博議員は、「古古古米(備蓄米のこと)はニワトリさんが一番食べてるんですよ。人間様は食べてないですよ」と述べられた。
備蓄米は囲米と同じ性質のものなので、備蓄期間中に不測の事態が起きなければ用がなくなる。
不要になったあとで飼料に回されるのであって、ニワトリさんのために備蓄されてるわけではない。
原口さんは以前は理性的な議論をする方だったが、どうされたのかな。
小泉進次郎さんが備蓄米をどんどん売ってるのは、スーパーにおける販売用コメ不足に対する緊急的措置である。
だから今後、普通のコメが5キロ1500円にはならないし、そんな安価で売られてはいけない。
森山幹事長は「5キロで3000円から3200円」と言われたそうだ。
消費者にとっては、おそらくそのあたりかと思うが、生産者から見ればどうなのか、もう少ししっかり算定する必要があるだろう。
それはともかく小泉さんは、備蓄米を全部売っちゃってもいいくらいの勢いだ。
しかし、この夏に重大な自然災害が起きたらどうするかも、考えておかなくてはいけない。
重大な自然災害とは、台風とかよりもっと深刻な事態、例えば富士が大噴火したとか、南海トラフが大暴れしたとかである。
食糧法によるコメ備蓄は、そんなことが起きたときのための備えなのだから。
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