師についてしっかり経済学を学んだわけでないのだが、面白い学問だと思う。
経済を把握するには、生産・流通・消費・金融などを連関的に把握しなければならない。
そのどこかがすっぽ抜けてたりすると、「論」にはならず、居酒屋談義になる。
JAの会長さんだったか自民党の幹事長だったか(あるいはその両方か)が、「今のコメの値段は高くない」という趣旨のことを言って、大いに炎上した。
では、コメの価格は実際のところ、高くないのだろうか。
消費することだけ考えてる人は、「去年は5キロ1500円だったのに4500円なんて高すぎ。もっと安くしろ」というだろう。
話はそれるが、むかし、高校の社会科の先生をやってたとき、経済の授業でよく、「物価って安いほうがいいのかな。それとも高いほうがいいのかな」と生徒に尋ねてみたものだ。
生徒たちは、「安いほうが暮らしやすくていいに決まってんじゃん。この先生はなんで、当たり前のようなことを聞くんだろ。この質問にはきっと、何かの落とし穴があるぞ」と思って、顔を見合わせる。
おれ:「物価が安い方がいいなんて言うのは、マジで、子どもだよなぁ・・。おこづかいが増えないとすれば、お菓子の値段が下がったら、今までよりたくさん買えるから、うれしいもんなぁ・・」
おれ:「でも、お菓子の値段が下がったとき、お菓子工場の従業員の給料はどうなるんかなぁ・・」
おれ:「花園インター近くの巨大お菓子工場(固有名詞は伏す)に就職したいって言ってる人はいなかったっけ」
そう。デフレがまずいのは、物価が安いことではなくて、賃金を抑える重しになってしまうからだ。方向性の是非はともかく、安倍晋三さんが「デフレからの脱却 ! 2パーセントの物価上昇 !」と言い続けたのは、物価を上げて国民生活をを苦しめようとしていたのではなく、景気と賃金の好循環を作り出そうとしていたからだった。
この対話で生徒たちには、経済は消費者の視点だけなく、生産の現場の視点からも見るべきということを気づかせたかった。
コメの話に戻す。
コメの適正価格は、種籾代金、肥料代、農薬代、トラクター・田植え機・稲刈り機・脱穀機の燃料代と減価償却費、用水使用料などに、農業者が得るべき労働力の対価(最賃ではぜんぜん合わないがとりあえず時給1500円程度としよう)に、流通費とパッケージ費、冷蔵倉庫使用料を加えた金額となる。
以上のなかに、支払われるべきでない経費はあるだろうか。
JAの会長や森山幹事長が清廉潔白な人かどうかは知らない。
しかし5キロ1500円は、どうみても適正とは言えない。
一部の農業者が言われるように時給10円というのが事実かどうかは、確かめてない。いくらなんでも、そりゃないだろ、と思うが、時給200円とかなら大いにあり得ると思う。
野党の政治家にその傾向が強いのだが、コメを安くしろと大声で叫んでいるだけでは、お菓子を安く買いたい子どもとおんなじになっちゃう。
子どもでないのなら、もっとしっかりした議論をしてほしい。
また、JAの会長や森山幹事長は、一語文でなく、せめておれくらい、ていねいに説明しなくちゃね。