
4度目の高尾山。
いろはの森コースを登るつもりだったが、蛇滝口でバスを降りた。
まずは、湯の花トンネル戦災犠牲者の慰霊碑へ。
1945年8月5日のお昼時、P51戦闘機が高尾山上空から蛇滝のある行ノ沢へ急降下し、ここにさしかかった東京発長野行きの普通列車に襲いかかった。運転士は急ブレーキをかけ、機関車と一両目および二両目の半分がトンネルに入ったところで列車は停止。二両目後半から八両目までが、P51のえじきとなった。窓から乗り込むほどの混雑だった車内は、生き地獄と化し、50人ほどが亡くなった。
遺体は近くの民家の庭に並べられたが、傷みが激しく、ウジが湧いて凄惨な状態だったため、やや上流の日影沢(現在のいろはの森コース下部)で焼かれたが、燃料が十分もらえず、燃やせた遺骨の一部だけ集めて、あとはそのまま埋めたという。
慰霊碑の後ろに建てられた新しい石碑には、判明した犠牲者の名前が彫られている。もっとも若いのは、五歳の中田智和くんだ。あと10日生きてれば、戦争は終わった。銃弾が今少し逸れていれば、いまでも存命だったかもしれない。
彼以外にも、若い男女が何人も犠牲になっていた。おれは、犠牲者の子どもくらいの年齢なんだが、いま勤めから解放され、申し訳ないことに、毎週のように山に登って遊んでいる。絶対に忘れませんからと心で呟いて、山頂に向かった。
快晴無風、青空と白い富士がすばらしかった。
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